【タイ④】カオサンロードでヒッピーと飲んだ話 ヒッピーって何だろう
バックパッカーの聖地、バンコクにあるカオサンロード で生まれて初めてヒッピーと交流した。
ヒッピーという言葉を初めて聞いたのはいつだったろうか。ヒッピーの見た目はなんとなくイメージができるが、ヒッピーとは何かと聞かれればうまく説明できない。
画像:私の中のヒッピーのイメージ。この画像の人達は綺麗めではある。
ウィキペディアによるとこう書いてある。
「ヒッピーとは、伝統・制度などの既成の価値観に縛られた人間生活を否定することを信条とし、また、文明以前の野生生活への回帰を提唱する人々の総称。」
なんだかよくわからないので私なりに噛み砕いてみる。現代社会のルールや伝統にとらわれず自由に生きている人々、そして野生生活に戻ろう!という考えを持っている人々、といったところだろうか。
元々カオサンロードに行こうと思ったきっかけは「THE BEACH」という映画を見たことだった。
この映画はバックパッカーの主人公(レオナルド・ディカプリオ)が、タイのとあるビーチを目指して冒険する話である。
この映画の冒頭は、カオサンロードから始まる。そこである出来事が起こり、主人公の運命が変わっていく。
その映像が衝撃的で、いつか行ってみたいと思っていた。
しかし時の流れと共にカオサンロードもどうやら姿が変わってしまい、映画のような光景は見ることができなくなってしまったようだ。映画の公開から18年以上経過しているため、当たり前のことではある。
それでもカオサンロードという場所に一度行き実際がどんなものか見てみたい、ということで足を向けてみた。
たしかに映画で見たカオサンロードとは全然違った。バックパッカーというよりは、欧米人の観光客がここの人口の概ねを占めている。お洒落なカフェやナイトクラブが立ち並んでおり、全体的に物価も高めで、観光客向けに価格設定されている印象だ。
カラフルな風船が売っていたり
マッサージ屋が立ち並んでいたり
食用の虫が売っていたりする。
そんな様子の中でも大きなバックパックを背負ったバックパッカーもちらほら見かけた。
そのバック、絶対15キロ以上あるでしょ…というような大きなバックパックを背負っている。こんな重たいものを背負って旅をする自信がなくスーツケースで旅行している私は、そんなバックパッカー達を尊敬している。
カオサン地区は交通の便が悪いことで有名だが、一泊500円前後で泊まれる安宿が多いため、今でも旅人が集まるという。
一通りカオサンロードを見た後、とあるお店で夕ご飯を食べることにした。
名前がよくわからないタイ料理を食べていると、隣のテーブルにいたある1人の男性に話しかけられた。
「1人?どこ出身なの?」と。
その人はドレッドヘアーで濃いひげを生やし、大きめのリュックを背負っている。見た目だけで判断するとヒッピーっぽい。でもヒッピーかどうかなんて、その人がどういう生き方をしているか知らないとわからない。
人を見かけで判断してはいけないと言うことは分かっていても、どことなく怪しさを感じる。日本で同じように質問をされたら、ただのナンパと認識し相手にしない。
しかし目を合わせてしまったし、あと10分以上は隣のテーブルでご飯を食べなければいけない。世間話だけしてさっさと店を出ようと決意し少しだけ話すことにした。すると「僕は基本的に今はタイに住んでるけど、イスラエル出身なんだ」と話し出すではないか。
イスラエルですって!?!?世界一周旅行で行きたい国 の記事にも書いたが、イスラエルは私がモストオブ行きたい国。何年も前からイスラエルに行きたくて行きたくて仕方がなかった。
その旨を伝えると、イスラエルのオススメの場所や店、美味しいイスラエル料理などを次々に教えてくれた。最後には店にあったタイビール全種類頼んでくれて、イスラエルの公用語であるヘブライ語まで教えてくれる始末である。
イスラエルのことを話してるうちに、段々と彼のことがわかってきた。
イスラエルで生まれ育ったが、タイの自由に生きられる点と物価が安い点に惹かれ、10年ほど前に移住したらしい。仕事はフリーランスのカメラマンをしており、決まった土地に定住せず、その時仕事がある地域や好きな場所で暮らしているとのこと。そして明日、労働許可を貰いに行くためにラオスに旅立つという。今日はこの辺りで撮影があったからビールが安く飲めるこの店に寄ったらしい。
私はこれから多くの国を旅行する予定だと話した。すると今まで旅行で撮ってきた写真をもしよかったら見せてくれとのことだったので、インスタグラムのアカウントを見せた。
そしてアフタヌーンティーの写真を彼が見ていた時だった。「すごく美味しそうだね!でも僕のようなヒッピーがこれを食べていたら変だよね!」と言ったのだ。
あ、自分でヒッピーって言った。この人やっぱりヒッピーだったんだ。
「生まれて初めてヒッピーと話した」と伝えると、彼の信条も聞かせてくれた。
「ヒッピーは麻薬や変わった性行為をするってイメージを持つって言う人もいる。でもそれをしない人もたくさんいるし、僕はカメラマンという仕事だって持っている。当然だけどヒッピーにも色々種類がある。自分は結婚もしないし、何にも縛られずに自由に生きている。それがとても幸せなんだ。そして僕は音楽と自然を愛するベジタリアンのヒッピーだよ。」と。
なるほど、面白い。そして彼はこう続けた。
「イスラエルを好きな人と話せて嬉しいよ!もしイスラエル料理や、僕の好きな音楽に興味があるなら、オススメのお店連れて行くよ!イスラエル人の友達も紹介しよう!もし不安なら友達をつれてきたっていいし、一緒に来たくなかったらお店を紹介するだけでもいい。ジャズ、ブルース、レゲエ、どれが好き?イスラエル料理屋でもいいよ?」
うーん、どうしよう。親切だがやはり不安はある。友達と一緒でもいいと言ってくれたのでお言葉に甘えてみることにした。前日同じホステルで仲良くなったスペイン人を誘ってみると話に乗ってくれたため、みんなで合流してブルースバーに行くことになった。
ブルースバーには初めて来たが、物凄く楽しかった。ギター、ベース、ドラム、ハーモニカが奏でられている中で、良い声のボーカルが歌う。お客さんもノリノリ、満員であった。彼曰くここら辺で一番気に入っているブルースバーだそう。
そして旅人にお代を払わせるわけにはいかないと、この日は1件目も2件目も彼が全部支払ってくれた。ちゃんとメーターの動いているタクシーに私と友人を乗せて返してくれたし「君の旅が素晴らしいものとなるよう祈ってる」と送り出してくれた。良い人だったのに疑ってごめんなさい、ヒッピー。
最後にブログタイトル”ゆめたび”にちなんで、ヒッピーにも夢を聞いてみたので紹介しようと思う。
ヒッピーの夢は「もっといろんな映像を撮ること、そして今の幸せを維持すること」だそうだ。
このヒッピー、見かけによらずちゃんと仕事をしていた。タイで放送されているCMを撮影したり、プロモーション映像、ミュージックビデオを撮ったりしている。実際に撮影したムービーやメイキング映像も見せてくれたが、完全なるプロであった。やはり人は見かけだけで判断してはいけない。
しかしこのヒッピー、タイのオススメの場所も多数教えてくれたのだが、その中にメジャーではない島なども含まれていた。「この島、観光地じゃないし人もそんなに住んでないみたいだけど、どうやって楽しんでたの?」と聞いたら「うーん、色々さ。HAHAHA」と言葉を濁していた部分もあったし、そもそもタイで働いているのにどうしてラオスの労働許可が必要なんだ?と謎に思う部分もあった。
この記事を読んでもヒッピーというものがよくわからない人もいるだろう。そんな人は冒頭に紹介した「THE BEACH」を見てみると良いかもしれない。映画の中盤以降、絵に描いたようなヒッピー達がたくさん出てくる。
余談だが、タイタニックの次にレオナルドディカプリオが出演した映画がこの映画だという。100本以上あったオファーの中で、この映画の出演を決めたというというから驚きだ。
カオサンロードに実際に行ってみて、旅人が交流する場というよりは、観光地として発展しているように感じた。しかし未だにたくさんの旅人がいるのは確かだし、少なくとも私は異なる文化を持つ人々と話すことができた。それだけでもカオサンロードに訪れることができてよかったと思っている。
画像:日中のカオサンロード
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